「差別はやめよう」の一言がなぜ言えなかったのか 兵庫県議会で問われた斎藤知事の姿勢
兵庫県議会本会議で、自民党の伊藤傑県議が、県庁前で行われているヘイトスピーチについて斎藤元彦知事に質問した。
発端となったのは、斎藤知事の定例記者会見に合わせて県庁周辺に集まる一部の知事支持者を名乗る人々による差別発言である。
部落解放同盟兵庫県連合会は、被差別部落や在日コリアン、障害者に対する差別的な発言が繰り返されているとして、知事に対して差別発言の停止を求めるよう申し入れを行った。
目次
「一番迷惑しているのは知事ではないか」
本会議で伊藤県議は、
「県庁前のヘイトスピーチは警察も県職員も現場で録音・録画しているはずだが、警察と県や知事との連携はどうなっているのか」
と質問した。
これに対し県民生活部長は、
「職員から報告は受けているが、個別の事案になるので知事に詳細は報告していない」
と答弁した。
その後、伊藤県議はさらに踏み込み、
「『さいとうがんばれ』の後にヘイトスピーチが行われている。一番迷惑しているのは知事ではないか。プラスになることは一つもない。知事が『迷惑している』と言えば済む話だ」
と問い掛けた。
これは知事の法的責任を追及するものではなく、
「差別発言はやめてほしい」
という極めてシンプルなメッセージを求める質問だったと言える。
兵庫県庁前で障がい者差別を繰り返す #斎藤元彦支持者
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知事は「個別事案」として回答を避ける
しかし斎藤知事は、
「詳細は報告を受けていない」
「行政の長として個別の事案への発言は差し控える」
と答弁したうえで、一般論として人権啓発の重要性を述べた。
これに対し伊藤県議は、
「個別の事案ではありません」
「人権推進課の方は知事に報告していると言っている」
「こういうことがあって迷惑と思いませんかと聞いている」
「止めましょうよ。みんなで。知事も協力してください」
と再度訴えた。
それでも知事から明確な発言はなかった。
問われていたのは法的責任ではない
今回のやり取りで注目すべきなのは、問われていた内容である。
伊藤県議は、
「誰が差別発言をしたのか」
「どの発言が違法なのか」
を問うていたわけではない。
問われていたのは、
「知事は差別発言を望んでいないのか」
「知事の名前を利用して行われるヘイトスピーチを迷惑だと思わないのか」
という政治的・倫理的な姿勢である。
仮に事実関係の調査が終わっていなかったとしても、
「差別発言があったのであれば遺憾です」
「私を支持する立場であっても差別発言はやめてください」
という発言は可能だったはずだ。
なぜ問題視されるのか
今回の問題は、反対派と支持派の対立という単純な話ではない。
申し入れを行ったのは部落解放同盟兵庫県連合会であり、質問したのは自民党県議である。
さらに県の人権担当部署も状況を把握している。
つまり、
「反斎藤派による政治的な攻撃」
という文脈で無い問題なのである。
だからこそ、
「差別は許されない」
という基本的なメッセージを知事が発することを期待する声が出ている。
「斎藤元彦・兵庫知事の支持者らが公然と差別発言」部落解放同盟 停止させるよう求める
3日、県庁で記者会見した部落解放同盟県連合会の渕本委員長は、現状について「限度をはるかに超えている。差別発言を楽しんでいるように見える」と指摘し、「県庁という行政機関の前で公然と差別発言が行われているということは大きな問題だ」と述べた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/bcb483b8fb02ae479c5490cd4150a56dc79d227a(出典:産経新聞 2026年6月3日)
「風通しの良い職場」のウソ
「ご指摘いただいたことはご意見として受け止めたいですが、真摯に受け止めて謝罪をさせていただいています。襟を正して風通しの良い職場づくりに向けて、職員一丸となって組織づくりをしていくことが私の責任の取り方と考えています」と第三者委員会からパワハラを認定された時に、自身に処分をしない理由として、「風通しの良い職場を作っていくことが責任の果たし方」と発言していましたが、「人権推進課のかたが知事にはちゃんと報告してます。部長のほうからしっかり答えるようにしますとおっしゃっていた」と伊藤傑県議が発言しているように、職員は、知事に報告すると言っていても、部長からは知事に報告されない。
県幹部が、知事に都合の悪い情報は上げていないと言うことが明らかになりました。
斎藤知事が言う「風通しの良い職場」には全くなっていないと言うことも明らかになった。
県民が見ているのは知事の姿勢
行政の答弁としては、
「詳細を承知していない」
「個別事案へのコメントは控える」
という対応は理解できる。
しかし県民が見ているのは法的なテクニックではなく、知事の姿勢である。
特に人権問題においては、
「差別を許さない」
という立場を明確に示すこと自体に大きな意味がある。
今回の本会議で残った最大の疑問は、
「なぜ知事は『差別はやめてください』という一言を明確に言わなかったのか」
という点ではないだろうか。
この問題は今後も、兵庫県政における人権行政のあり方を問う論点として議論が続いていくことになりそうだ。
部落解放同盟県連合会が正式な申し入れをして、会見も行っているにも関わらず、知事は「詳細は承知していない」と答弁する。
これでは、困っている人が知事に申し入れしても、「詳細は知らない」と放置されるのが兵庫県だと、県民に伝えているようなものです。
自民党は一般的に「人権問題への対応」に取り組む姿勢を示しつつも、「外国人人権基本法」には慎重姿勢ですが、「治安・秩序の維持」を重視する立場を取ることが多く、今回の伊藤傑県議質問も、知事を責めるものでは無く、緩やかに着地点を示した質問にも、全く応えようとしない斎藤知事の答弁には、少し歩み寄りを見せていた自民党県議団としても、態度を硬化させるものだったと思います。
知事は「自分さえ良ければ、困っている人がいても気にしない」と公言したようなもので、ヘイトスピーチを行っている支持者と同列で非難されるべきだと思います。
先生に「いじめ」を動画を添えて訴えても「皆さんいじめはダメですよ」と言うのと同じ
今回の斎藤知事の答弁を、学校に置き換えると、いじめを受けている生徒が、いじめの現場の動画を添えて先生に訴えているのに、「詳細は知らない」と言い張り、いじめをしている本人には、直接言わず「皆さんいじめは止めましょう」と言っているのと同じです。
ヘイトスピーチで困っている人が、直接、知事に申し入れしているのに「詳細は承知していない」と言ってしまうのは、知事が「あなた達は、守る価値がありません」と言っているのと同じです。
兵庫県で生活している県民一人一人の命の価値に差はありません。それなのに、知事を支持する人のヘイトスピーチは放置して、そのヘイトスピーチで困っている人が、直接申し入れしても手を差し伸べない対応に、県民はどう感じるのでしょうか?
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