【税収1兆円超なのに赤字】兵庫県が「起債許可団体」に転落する本当の意味
兵庫県は来年度、税収が初めて1兆円を超える見込みです。
一見すると、財政は好調のように見えます。
しかし同時に発表されたのは、約130億円の収支不足。さらに、2026~2028年度の3年間で計530億円の赤字見通し。加えて、収入に対する借金返済額の割合を示す実質公債費比率は21%超となり、新たな借金に国の許可が必要な「起債許可団体」に転落する見通しとなりました。
税収が過去最高なのに、なぜ赤字なのか。
普通の県民にとっては、公益通報問題よりも、まずこの問いの方が切実ではないでしょうか。
目次
起債許可団体とは何か
「起債許可団体」とは、実質公債費比率が18%を超えた自治体が該当し、新たに地方債を発行する際に国の許可が必要となる状態を指します。
これは単なるテクニカルな財政用語ではありません。
- 投資事業の自由度が下がる
- 公債費負担適正化計画の策定が必要になる
- 将来世代への負担が重くなる
つまり、「財政運営の余力が縮小している」という警告です。
兵庫県が許可団体になるのは、2006~2011年度以来、14年ぶりです。
現在、都道府県で該当しているのは北海道と新潟県のみとされています。
なぜ「税収過去最高」で赤字になるのか
財政の基本は「入るを量って出ずるを制す」です。
それにもかかわらず赤字になる理由は、大きく三つ考えられます。
① 公債費という固定費の増大
阪神・淡路大震災の復興費を地方債で賄った歴史的経緯があり、その償還が今も続いています。さらに長期金利の上昇により、利払い負担が増加しています。
これらは「削りにくい支出」です。
② 義務的経費の増加
医療・福祉・人件費などは構造的に増加傾向にあります。少子高齢化が進む中、自然増は避けられません。
③ 投資規模の問題
知事は「ここ数年ではなく、過去数十年の投資の大きさが影響している」と発言しています。
確かに、震災復興債や過去の公共事業の影響はあります。しかし、現在の財政運営もその延長線上にあります。
万博関連支出約45億円や広報・PR費は、厳しい財政状況の中でどのような優先順位で決定されたのか。
「将来への投資」なのであれば、具体的な費用対効果やKPIを示す必要があります。
斎藤知事は「既得権益と戦う」「改革を行う」っているの結果が起債許可団体なのか
斎藤支持者の中には、今回の財政状況についても
「既得権益と戦っているからだ」
「改革には痛みが伴う」
という説明をする声があります。
しかし、ここで冷静に整理しなければならないのは、改革と財政指標の関係です。
改革とは何を意味するのか
「改革」という言葉は力強い。しかし、政策評価においては、
- 何を削減したのか
- どれだけ恒常的な歳出削減があったのか
- 財政にどの程度の効果があったのか
が示されなければなりません。
もし本当に既得権益の見直しが進み、無駄な歳出が大胆に削減されているのであれば、少なくとも財政の持続可能性は改善方向に向かうはずです。
しかし現実は、実質公債費比率21%超という結果です。
これは偶然なのでしょうか。
改革と財政悪化は両立するのか
もちろん、単純な話ではありません。
- 阪神・淡路大震災の復興債という歴史的要因
- 長期金利の上昇という外部要因
- 義務的経費の増大
これらは知事一人の責任ではありません。
しかし、それでも問われるのは、
改革の成果が財政指標にどのように現れているのか
という点です。
改革を掲げるのであれば、
- 不要不急事業の凍結
- 新規投資の厳格な選別
- 数値目標付き財政再建計画
が明確に示されるはずです。
起債許可団体転落との整合性
兵庫県は実質公債費比率21%超で、起債許可団体へ。
これは、
- 歳出削減が不十分だったのか
- 構造的負担が大きすぎたのか
- 投資判断が妥当だったのか
を検証する必要がある状態です。
万博支出やPR事業との整合性
財政が構造的に厳しい中で、
- 万博関連支出約45億円
- 各種PR事業
は、どのような優先順位で決定されたのか。
改革知事であれば、まず固定的支出を削減し、投資は厳選するという判断が期待されます。
もしその説明が十分でなければ、
改革は行政組織の話であって、財政改革ではなかったのではないか
という疑問が出るのは自然です。
スローガンではなく数字で示すべき時
「既得権益と戦う」という政治的メッセージは耳目を集めます。
しかし、県民が最終的に見るのは、
- 実質公債費比率
- 将来負担比率
- 中期財政見通し
といった客観的指標です。
もし改革が本物であれば、数字で示せるはずです。
もし示せないのであれば、その中身を検証する必要があります。
問われているのは政策の整合性
起債許可団体への転落は、単なる手続き上の問題ではありません。
それは、
改革の成果と財政の現実が整合しているのか
という問いを突きつけています。
感情的な対立ではなく、
- 改革による歳出削減額はいくらか
- 何年で実質公債費比率を18%未満に戻すのか
- 今後の投資基準は何か
を、具体的に示すことこそが必要です。
問われているのは「責任」よりも「説明」
ここで重要なのは、誰の責任かという単純な話ではありません。
県民が知りたいのは、
- なぜここまで比率が悪化したのか
- 外部要因(震災・金利)と内部要因(投資判断)をどう切り分けるのか
- いつまでに18%未満へ戻すのか
- 県民負担は増えるのか
という具体論です。
もし説明が「適正適切適法」や「過去の投資の影響」といった抽象論に終始すれば、不満は確実に高まります。
財政問題は、生活に直結するからです。
県民が本当に不安に思っていること
普通の県民が気にしているのは、
- 将来増税はあるのか
- サービスは削減されるのか
- インフラ整備は止まるのか
- 子や孫の世代に負担を残すのではないか
という現実的な不安です。
税収1兆円超という明るい数字だけでは安心できません。
問題は「構造」です。
説明の一貫性が信頼を左右する
もし財政問題については丁寧な説明を行うならば、他の重要案件についても同様の説明水準が求められます。
逆に、財政についても抽象的な説明に終わるなら、政治不信はさらに深まるでしょう。
財政は数字の問題であると同時に、統治の信頼の問題でもあります。
今こそ正面から説明すべき時
起債許可団体への転落は、単なる行政手続き上の変化ではありません。
それは、兵庫県の財政運営が転換点に立っているというサインです。
税収が過去最高である今こそ、
- 財政の全体像
- 中期再建計画
- 投資の優先順位
- 県民負担の見通し
を、具体的に、分かりやすく説明する必要があります。
ここで説明を避ければ、不満は噴出する可能性が高い。
丁寧に説明すれば、県政への信頼回復につながる可能性もある。
今、問われているのは数字以上に、説明責任と統治の一貫性ではないでしょうか。
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